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なぜスワップポイントの水準は会社ごとに違うの?

なぜスワップポイントの水準は会社ごとに違うの?

FX取引でスワップポイントを狙う場合、会社選びは最も重要なポイントになります。しかし、同じ通貨ペアでも会社によってスワップポイントの水準が大きく異なることがあります。なぜこのような差が生じるのでしょうか?

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「A社では36円、B社では40円…」 どうしてこんなに差があるの?

実は、スワップポイントの決まり方には複数の要因が関わっています。各国の金利差だけでなく、FX会社のビジネスモデルや市場環境も影響しているのです。

スワップポイントとは?

そもそもスワップポイントとは?

FX取引では、為替差益だけでなく「スワップポイント」という利益を得る方法があります。スワップポイントとは、2つの通貨間の金利差から生じる調整額のことです。

FXでは2つの通貨を同時に売買するため、買った通貨の金利を受け取り、売った通貨の金利を支払うという仕組みになっています。

例えば、米ドル/円の通貨ペアで「買い」のポジションを持つ(米ドルを買って円を売る)場合、米ドル金利を受け取り、円金利を支払うことになります。2025年3月現在、米国の金利が日本より高いため、この取引ではプラスのスワップポイントを受け取ることができます。

スワップポイントには「買いスワップ」と「売りスワップ」の2種類があります。

  • 買いスワップ:米ドルを買って円を売る
  • 売りスワップ:米ドルを売って円を買う

高金利通貨を買い、低金利通貨を売ると、金利差分をスワップポイントとして受け取れます。逆に、低金利通貨を買い、高金利通貨を売ると、スワップポイントを支払うことになります。

FX業者が提示するスワップポイントはどう決まるのか?

スワップポイントは単純に各国の政策金利の差だけで決まるわけではありません。実際には短期金融市場の金利や為替レートを参照して算出されます。一般的な計算式は以下のようになります。

スワップポイント(円)=数量×金利(%)÷365(日)× 円評価レート

ただし、この計算式も目安であり、実際のスワップポイントはFX業者によって異なります。その理由は、以下の要素が影響しているからです。

  • 銀行間の短期金利差
  • FX業者独自の調整(マージン)
  • 市場の流動性
  • 通貨の需給バランス

特に、新興国通貨を対象とする取引については、インターバンク市場における需給や相場観の影響を受けやすい傾向があります。そのため、同じ通貨ペアでもFX業者によってスワップポイントが大きく異なることがあるのです。

スワップポイントが会社ごとに違う理由

①金利差の変動とカバー先銀行の違い

FX会社は、顧客から受けた注文をそのまま抱えるのではなく、リスクヘッジのためにカバー先銀行に取引を行います。このカバー先銀行から得られる金利条件が、スワップポイントの基礎となります。

FX会社によって提携しているカバー先銀行は異なります。大手銀行と取引できる会社もあれば、中小の金融機関とだけ取引している会社もあります。カバー先銀行の規模や信用力によって提示される金利条件は変わってくるため、結果としてFX会社が顧客に提示するスワップポイントにも差が生じます。

また、カバー先銀行との取引量や取引条件によっても金利水準は変動します。取引量が多いFX会社は、銀行から有利な条件を引き出せる可能性が高く、結果として顧客に還元できるスワップポイントも高くなる傾向があります。

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カバー先銀行の規模や関係性などビジネス的な要因が影響

会社によってレートやチャートも違ってくる

ドル円などのメジャー通貨ではあり得ないのですが、トルコリラ円のようなマイナー通貨ではFX会社によってレートも大きく乖離があります。

下記のように同じ時間帯でも示されるレートが違い、流動性が低いことでチャート自体にも違いが出てきます。

トルコリラ円のレートの違い
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複数のFX会社でポジションを持つと違いに驚く

②FX会社ごとのコスト(収益)構造の違い

FX会社は主に「スプレッド」と「スワップポイント」から収益を得ています。各社はこの2つのバランスを調整して、自社の収益構造を最適化しています。

例えば、あるFX会社はスプレッドを狭く設定して取引量を増やす戦略をとり、スワップポイントからの収益を抑えめにすることがあります。一方で、別のFX会社はスワップポイントを高く設定して長期保有の顧客を獲得する戦略をとることもあります。

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要するに「FX会社の稼ぎ方」の違い

このような競争戦略の違いが、スワップポイントの水準に反映されるのです。以下に代表的な戦略パターンをまとめました。

  • スプレッド重視型:取引コストを低く抑え、短期売買を行う顧客を獲得
  • スワップ重視型:高いスワップポイントを提示し、長期保有する顧客を獲得
  • バランス型:両方をバランスよく設定し、幅広い顧客層を獲得

各FX会社は自社の強みや顧客ターゲットに合わせて、これらの戦略を選択しています。

③為替市場の需給とポジションバランス

FX会社が抱える顧客のポジションバランスも、スワップポイントに影響を与える重要な要素です。例えば、ある通貨ペアで「買い」のポジションが極端に多い場合、FX会社はそのリスクをヘッジするために追加コストが発生することがあります。

このような状況では、FX会社は「買いスワップ」を下げることで、新たな「買い」ポジションの増加を抑制しようとすることがあります。逆に「売り」ポジションが多い場合は、「売りスワップ」を調整することもあります。

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ポジションが極端に傾くとFX会社にとってはリスク

特に人気の高い通貨ペア(米ドル/円など)では、市場全体の需給バランスが崩れると、多くのFX会社が同時にスワップポイントを調整することがあります。そのため、同じタイミングでも会社によってスワップポイントの変動幅が異なることがあるのです。

④スワップポイントの調整ルール

スワップポイントは日々変動するものですが、その調整タイミングや方法もFX会社によって異なります。

多くのFX会社では、ニューヨーク市場クローズ時点(米国サマータイムの場合は日本時間で午前6時頃)にロールオーバーを行い、スワップポイントを付与します。しかし、実際の調整頻度は会社によって異なります。毎日調整する会社もあれば、週に数回だけ調整する会社もあります。

これらのルールの違いにより、同じ通貨ペアでも会社によってスワップポイントの実質的な水準に差が生じるのです。

高スワップの業者を選ぶ際の注意点

①スワップだけでは判断できない総合的なコスト

スワップポイントが高いFX会社を選ぶことは、長期運用では重要なポイントですが、それだけで最良の業者とは言えません。総合的なコストを考慮する必要があります。

まず、スプレッドの広さも考慮すべきです。スワップポイントが高くても、スプレッドが広ければ、取引コストが高くなり、結果的に利益が減少する可能性があります。特に頻繁に取引を行う場合は、スプレッドの影響が大きくなります。

また、約定力も重要な要素です。スワップポイントが高くても、注文が思うように約定しなければ、狙った価格で取引できず、結果的に損失につながることもあります。

さらに、会社ごとのスワップポイントへの課税タイミングの違いもチェックしましょう。スワップポイントは決済時に確定しますが、一部のFX会社では「スワップ振替」という機能を提供しており、ポジションを決済せずにスワップポイントだけを確定させることができます。

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スワップ収益のためだけの確定申告は面倒だから避けたい

②高スワップの持続性と過去の推移

最も重要なのは、「高スワップを維持できるか?」の見極めです。一時的に高いスワップポイントを提示していても、数週間で低下することもあります。過去には高スワップで有名だった会社が、現在では魅力がなくなっているケースもあります。

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以前は高スワップの代表格IG証券も現在は低スワップ会社

過去のスワップ推移をチェックするには、以下の方法が有効です。

  • FX会社の公式サイトで過去のスワップポイント推移を確認する
  • 比較サイトなどで複数社のスワップポイント推移を比較する
  • SNSや掲示板で他のトレーダーの情報を収集する

これらの情報を総合的に判断して、自分の取引スタイルに合ったFX会社を選ぶことが大切です。高スワップが一時的なキャンペーンではなく、継続的に提供されているかどうかを確認しましょう。

まとめ

スワップポイントの水準が会社ごとに異なる理由は、カバー先銀行の違い、業者のコスト戦略、市場の需給バランス、調整ルールの違いなど、複数の要因が絡み合っています。

スワップポイント狙いの取引では、単に高いスワップポイントを提示している会社を選ぶだけでなく、スプレッドや約定力、スワップの持続性なども考慮する必要があります。また、スワップポイントは短期的に変動するため、定期的なチェックが欠かせません。